
行きたくない部署に異動するかもしれない。やっていけるか不安だ。
どうやって乗り越えていけばいいの?
こんな気持ちの方に記事を書きました。
定期的な人事異動は、公務員の宿命です。
異動の度に「ウキウキして楽しみ」という人は珍しく、不安を抱えながら乗り越えている人が多いと思います。
私も県庁で14年間勤務し、5回の異動を経験しましたが、異動の度に不安やストレスを感じていました。
しかし、異動と前向きに向き合い、結果的に仕事や人間関係、環境にうまく対応できました。
本記事を読めば、つらい異動に向き合うヒントになると思います。
公務員の異動がつらいと感じる理由

異動がつらいと感じる理由を、4つ挙げます。
- 理由1:希望通りにいかない
- 理由2:業務が大きく変わる
- 理由3:人間関係が変わる
- 理由4:生活が変わる
それぞれ解説します。
理由1:希望通りにいかない
理由の1つ目は、異動が希望通りにいかないことです。
個人の希望より、組織の都合が優先されるからですね。
たくさんの定期異動者を異動させるのは、壮大なパズルを組み合わせているようなもの。
- 職員個人の希望
- ポジションが空くタイミング
- 人事課が考える適材適所
これらが一致する可能性は、非常に稀です。
人事課は、個人の長所を生かすという視点もありますが、様々な業務を経験させてジェネラリストに育てるという方向性もあります。
個人の理想と組織の考えが異なるということも十分あり得ます。

濃淡はありますが、人事課は誰をどこに異動させるか、その理屈を整理していますよ。
なんとなくの理由では決められないですからね。
理由2:業務が大きく変わる
2つ目は、業務内容が大きく変わることです。
行政の業務分野はとても幅広く、この中をランダムに異動するからですね。
これまで、覚えてきた知識はリセットされて、またゼロから学び直す必要があります。
本庁と出先機関でも大きく変わる
本庁と出先機関の勤務でも、雰囲気が大きく変わります。
例えば私の場合は、補助金の事務作業をメインでやっていたら、翌月から土木事務所の管理業務をやった感じですね。
服装はスーツから作業服に変わり、職場環境はオフィスから現場に大きく変わりました。
業務量、コミュニケーションの相手なども変わりますね。

苦情や対応が多い、マスコミ対応が多いなど、精神的負担の変化もあります。
理由3:人間関係が変わる
3つ目は、職場の人間関係が変わることです。
慣れ親しんだコミュニティから抜けて、知らない人の中に入っていくのはストレスを感じやすいからですね。
上司や先輩、同僚の個性は十人十色。
良いメンバーに恵まれるかどうかは、運まかせで受け入れるしかありません。
相性の影響も大きいですね。
自分はAさんとBさん両方と仲が良くても、AさんとBさん同士は価値観が合わないってこともよくあります。

人見知りの私は、人間関係がリセットさせるのが一番つらかったです…。
理由4:生活が変わる
4つ目は、生活環境が変わることです。
勤務地の異動がある場合は、住居、通勤方法や帰宅時間など生活が大きく変化します。
朝の出勤時間が早くなったり、帰宅時間がかなり遅くなることも。
独身の場合でも負担が大きいですが、家庭がある場合は家族全体にまで影響します。
異動内示が出てから、勤務開始までの期間が短いので、一気に生活環境が変わります。
公務員の異動がつらいときの対処法

異動がつらいと感じるとき、どのように対処していくべきか。
私が実践していた対処法を踏まえ、解説します。
対処法を6つ挙げます。
- 対処法1:仕事を早く覚える努力をする
- 対処法2:人間関係を早く構築する
- 対処法3:ストレスケアをしっかり行う
- 対処法4:異動を前向きに考える
- 対処法5:異動希望調書を工夫する
- 対処法6:転職を考える
それぞれ見ていきましょう。
対処法1:仕事を早く覚える努力をする
仕事を早く覚える努力は有効です。
知識がないこと、できないこと、先が読めないことが、不安やつらさを生み出しているからですね。
経験済みと思いますが、2年後~3年後は仕事に慣れて、つらさはほとんどなくなります。
不安の要因を解決するために、早く仕事を覚える努力をした方がいいです。
具体的に私が実践していたのは以下のとおり。
- 異動前に情報を集める
- 1年間の流れを把握する
- 過去の資料を読んで勉強する(特に重大な事案)
それぞれ説明します。
異動前に情報を集める
異動内示で異動先がわかったら、事前にできるだけ情報を集めます。
所属のHPを見れば、対外的に公表している内容や最近の取組が把握できます。
同僚や先輩が経験した部署であれば、事前に話を聞いておくというのもいいですね。
1年間の流れを把握する
1年間の大まかな流れを把握しておくと、準備の遅れを防げますし、先が読めない不安が減ります。
引継書に年間スケジュールがまとめられていない場合がありますよね。
昨年のファイルや書類をパラパラと見ながら、どの時期にどんな業務が必要になるのかを調べておきます。
スケジュール帳におおまかに記載していくのもおすすめです。(後で修正できるように鉛筆書きなどで)
過去の資料を読んで勉強する
異動後は、時間のあるときに過去の資料を読んで勉強します。
過去の決裁文書や資料は、情報の宝の山です。
根拠法令や理屈の整理、過去の経緯がまとめられているので、知るべき情報がたくさんあります。
重要な案件やトラブル案件ほど、上に説明するために丁寧に作りこんであるので、参考になりますよ。

過去の資料を見ていると、先輩方のご苦労に敬服することがありますね。
対処法2:人間関係を早く構築する
人間関係を早く構築することも有効です。
相談や依頼しやすい関係性を早くつくることが、結果的にストレスを下げてくれる最善策だからですね。
- 毎日のあいさつ
- ちょっとした会話
- 歓迎会でのコミュニケーション
最初はストレスがかかりますが、これらを少し頑張ることで、スムーズに関係性を構築することができます。
明るくふるまって、相手から話しかけやすい雰囲気をつくることも大事ですね。
誰かと話している内容や、デスクの上、日々の行動を観察すると、話題にできそうな「ネタ」がいろいろと見つかりますよ。

人見知りの私ですが、歓迎会では(お酒の力も借りて)積極的にたくさんの人に話しかけるよう努力していました。
対処法3:ストレスケアをしっかり行う
ストレスケアをしっかりと行うことも重要です。
変化した新しい環境では、ストレスが想像以上にかかっているからですね。
- 十分な睡眠
- 趣味活動などのリフレッシュ
- 適度な運動
- 信頼できる人への相談
これらを怠らずに、心身の健康を保つことが大切です。

異動した環境に早く慣れる努力と、ストレスケアとのバランスが大事ですね。
対処法4:異動を前向きに考える

つらいと感じる異動自体を、前向きに考えることも有効です。
実際、異動は悪いことばかりでなく、得られるものがたくさんあるからですね。
考え方を変えるだけで、つらいと感じる心も大きく変わります。
異動があなたにもたらすメリットは以下の3つ。
- 新しい知識や経験を得て成長できる
- キャリアアップつながる
- 新しい人間関係が財産になる
それぞれ説明します。
新しい知識や経験を得て成長できる
自分が知らない知識や新たな体験ができることは、すばらしいことです。
知識が増え、価値観にも影響を受けて、人間として大きく成長することができるからですね。
ぬるま湯にいても衰退するだけ。
成長するためには、ストレスがかかる環境が必須です。

「つらいけど、成長してるー」と心の中で叫びましょう!
キャリアアップつながる
つらい異動は、キャリアアップにつながる道です。
自分が管理職になるために、今の知識や経験が必ず必要になります。
逆に、今のうちにどんどん経験値を積んでおかないと、後に自分の満足した仕事ができずに苦しむことになるでしょう。
将来への投資という視点も重要な考え方ですね。
新しい人間関係が財産になる
新しく構築した人間関係は、将来的に大きな財産になります。
公務員の仕事は、人と行う仕事です。
困ったときに、助けたり助けてもらう関係性ができることは大きいです。
プライベートでも長年付き合っていく関係性ができることもあります。
対処法5:異動希望調書を工夫する
異動がつらいときは、異動希望調書の書き方を工夫することも有効です。
組織の都合が優先される異動ですが、希望が通る可能性を少しでも上げる努力をするべきだからですね。
人事課は、全員の希望調書をしっかりと読んでいますよ。(仕事ですからね)
大きなポイントは2つ。
- 異動希望理由を戦略的・具体的に書く
- 異動希望先を書く
人事課が見たときに、「これはやむを得ない」とか「その方が組織としてメリットがある」と思うような調書を工夫して書きましょう。
こちらも参考にしてみてください。
対処法6:転職を考える
どうしても異動がつらい場合は、転職を考えるのもアリだと思います。
定期的な環境変化が、どうしてもなじめない、耐えられないという方は確実にいます。
また、家族への影響を考慮して、転職することも十分あるでしょう。
自分の価値観や個性、家族の状況などを検討して、最適だと思える仕事やキャリアを選択するべきだと思います。

何が大事で何が不要か、
人生の優先度を考えれば、選べる仕事はたくさんありますよ。
まとめ :異動に向き合うことが大事
本記事の内容を要約します。
異動がつらいと感じるのは、全くめずらしいことではありません。
変化にストレスを感じるのは当たり前な反応ですからね。
大事なことは、異動のつらいという感情には向き合うこと。
見ないように、感じないように避けていても早く解決することはありません。
記事に書いた自分に合う対処法を実践し、異動のつらさが軽減していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。