
公務員が民間企業に転職して使えるスキルってあるの?
何もないから転職はしづらいのかな…。
こんな気持ちの方に記事を書きました。
公務員は特定のスキルがないから民間企業では使えない。
こんな言葉、どこかで聞いたことがありませんか。
もちろん、世の中には様々な仕事があるので、専門的なスキルが必要なものもあります。
すべての仕事に簡単に転職できるわけではありません。
が、元公務員として強く主張したい。
公務員の仕事を頑張ってきた人が、民間で使えないわけがないです。
企業から見ても、優秀と思うスキルや特性が自然に備わっています。
今回は、公務員の仕事を通して、身につくスキルと特性について記事を書きました。
この記事を読んで、現役公務員の方が自信を持ってくれるとうれしいです。
公務員に身に付くポータブルスキル

公務員の仕事をしていると、高いレベルのポータブルスキルが身についています。
ポータブルスキルとは、どんな環境でも汎用性高く使えるスキル(=持ち運べるスキル)です。
正直なところ、このスキルが高ければおおよその仕事はできます(経験や専門知識は時間をかければ獲得できますし)。
具体的に挙げたいのは以下の4つ。
- 調べて、理解する力
- 情報を整理して、わかりやすく説明する力
- 文章・資料を作成する力
- 計画的に実行する力
それぞれ解説します。
調べて、理解する力
公務員の仕事は、自分で調べて理解しなければならないことばかりです。
異動による業務内容の変化や制度変更に対応し、新しい仕事をどんどん進めていく必要があるからですね。
- 法令の解釈
- 業務に関する背景や現状の知識
- 細かい事務手順や規則
事務決裁を通したり住民に説明する場合、これらの知識を頭に入れて理解しておかなければなりません。
- 法令、逐条解説、参考文献を読む
- インターネットで調べる
- 関係者に質問する
これらを通して、自分で理解していく力が身に付きます。

公務員の世界は、根拠や理屈が大事なので、正しい理解は絶対ですよね。
情報を整理して、わかりやすく説明する力
住民や上司などに、簡潔にわかりやすく説明する必要があります。
法令や制度の解釈は複雑なので、わかりやすく説明しないと理解してくれないからですね。
国は県に、県は市区町村に説明しなければならないことも。
しかも、情報は正確に伝えなければ、後からトラブルが発生してしまいます。
聞いている人が、どうすれば理解しやすいかを考えながら、説明の順序を組み立てたり、言葉を選ぶ必要があります。

組織内部で説明するときと住民に説明するときでも、使う言葉や方法は変える必要がありますよね。
文章・資料を作成する力
文章と資料を作成する力は本当に鍛えられます。
起案の度に、上司・先輩の添削を受けて改善していくからですね。自分も回ってきた起案の内容を審査する立場になります。
- 論理的構成
- 日本語の正しさ
- 情報の過多・漏れ
- 文章の位置
作成→添削→改善を何度も繰り返していくうちに、高い文章作成力と資料作成力が身についていきます。

文書で仕事依頼したり、報告をまとめることばかりですよね。文章や資料を作るのが仕事の半分以上を占めると思います。
計画的に実行する力
業務や組織をマネジメントして、仕事を実行する力が身に付きます。
基本的に複数のマルチタスク持っていますし、関係者と連携しながら計画的に進めていく必要があるからですね。
- 国や他部署からの調査依頼
- 事業者や住民からの申請対応
- イベントの計画・実行
係長になれば、各担当がやっている業務の進捗もマネジメントも求められます。
スケジュールを逆算し日々のタスクを管理しながら、計画的に進めていく力がついていきます。

業務量が多くて手をつけていないと、あっという間に締め切りが迫ってきますよね。
起案や上司に説明する時間も考慮しないといけません。
公務員に身に付く現場に対応する力

ポータブルスキルのほかにも適応力が身に付きます。
具体的には、以下の2つです。
- 異動した環境に適応する力
- 置かれた環境で成果を出す力
異動した環境に適応する力
公務員は必然的に3~5年の異動を繰り返します。
- 業務内容
- 職場環境
- 生活環境
- 人間関係
異動の度にこれらの変化に適応していくことになります。
業務内容を理解して、人間関係を構築して、生活を整える。
なかなかの適応能力ですよね。
- 現場の観察力
- 理解力
- コミュニケーション力
これらがあるからこそ、柔軟に適応できていけると思います。

3カ月くらいしたら、違和感なく現場に適応して業務をこなせますよね。
人によってはストレスはあると思いますが。
置かれた環境で成果を出す力
現場に適応するだけでなく、その期間に成果を出すのがさらに優秀な公務員ですね。
1年目 | ・業務を一通り回して現状を理解する ・課題を発見する |
2年目 | ・課題の改善のために動く ・新規事業を構築する |
3年目 | ・新しい事業を実践する ・改善点を加えて後任に引き継ぐ |
例としてはこんな感じです。
頻繁に異動するからこそ、短い期間で集中して取り組む必要があります。

より多くの経験を積むために、1年ごとに担当内で業務分担を回すということもありますね。
長期間、腰を据えて課題に取り組めないのが構造的な問題ではあります。
公務員ならではのタフネスポイント

公務員の仕事は非常にタフさが求められます。タフでないと持たないと言ってもいいでしょう。
具体的には、以下の3つ。
- 膨大な業務対応
- 失敗できないプレッシャー対応
- 住民対応
それぞれ見ていきましょう。
膨大な業務対応
部署によっては、とても時間内に終わらない業務量をこなしていく必要があります。
公務員の仕事は他律型のものが多く、自分たちで業務量をコントロールできないからですね。
忙しいからこれはやらないと取捨選択することはできません(基本的に全部やる)。
私は県庁勤務でしたが、帰宅するときの「職場の電気事情」はこんな感じでした。
21時 | たくさんの職場に電気がついている |
22時 | まだ結構電気がついている |
23時 | まだついているところはある |
24時 | あの部署は仕方ないか… |
本当にひどいブラック企業よりはマシかもしれませんが、絶対にホワイトとは言えないですね。
良いことばかりではないですが、結果的に体力がついていきます。
失敗できないプレッシャー対応
体力的なタフさもありますが、精神的にもタフになります。
公務員の仕事は基本的に失敗できないので、忙しい部署ほどピリピリしてきます。
ミスをしてしまうと、下記につながります。
- 首長や課長の記者会見
- 議会報告
- 報道機関・住民からの追求
仕事は膨大、締め切りも迫る、ミスはできない。
プレシャーから精神が鍛えられます。

民間企業でも体力と精神力のタフさって、めちゃくちゃ大事だと思います。
住民対応
住民対応では、わかりやすい説明とともに、粘り強さが身に付きます。
すぐに納得してくれる住民対応ばかりではないからですね。
明らかに敵対心を持っていたり、納得しない方も対応しなくてはなりません。
嫌なことや理不尽なことを言われても、受け流しつつ粘り強く対応する力が身に付きます。
公務員ならではの高い倫理意識

公務員が身に着けている高い倫理意識は、民間企業にとっても有益です。
社員の不祥事やコンプライアンス違反は民間企業にとっても大きなダメージになるからですね。
さらに悪い情報は、一気に拡散してしまう環境になっています。
- 法令を遵守する
- 会社の指針やルールを守る
- コンプライアンス違反のリスクが低い
企業からは、安心な人材として受け取られやすいです。
まとめ :公務員には、民間に通用する力がある
本記事の内容を要約します。
「公務員は、民間で使えるスキルがない」と言われることがありますが、それは大きな誤解です。
実際には、公務員の仕事を通じて培った力は、あらゆる職場で重宝される力です。
むしろ、転職市場においては「信頼できて、地頭も良くて、真面目にコツコツやれる人材」として、高く評価されることも少なくありません。
もちろん、専門知識や業界ごとの経験は必要です。
でも、それは転職後に学べばいいこと。
今のあなたには、すでに民間で活きる強みが備わっています。
もし今、「自分にはスキルがない」と感じているとしたら、それは事実ではなく、自己認識のズレかもしれません。
この記事を通じて、「自分にもできる」と思えたなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
公務員として頑張ってきた経験は、確実に、次のフィールドでもあなたの支えになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。